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へりで空撮 [放送]

FX7で行った長野・奥志賀渓谷の空撮について質問をいただいたので、ヘリコプターによる空撮について簡単にご報告。

へりによる空撮は振動を防ぐ防振装置が問題になるが、ここで使ったのはごく簡単な防振装置。

これが防振装置。防振装置としては、いちばん簡単な部類に入る。

へりのドアを取り払ってカメラに向き合う。当然、さむ~い。

上記のようないわば原始的?な防振装置は、現在、大手TV局ではほとんど使わない。ほとんどが機外につり下げたポッド内にカメラを納めた防振装置を機内のカメラマンがリモコンで操作する。

某局の場合、ヘリは必ず双発機を使わなければいけない。単発機ではエンジントラブル=重大事故につながるからである。 過去の経験からである。

私が報道カメラマンになって先輩、同僚、後輩カメラマンが、直接知っているだけで3人が取材中の事故で亡くなった。命をかけるような仕事などないが結果的にそうなることもある。けして死なない仕事をしている方は感謝すべきかも。

カメラは機体横のポッド内にあり、防振装置が命である。海外製品の物まねからスタートした防振装置だが、いまは日本航空電子など日本製が幅をきかしている。

こちらはカメラマン席。このあたりの仕様は、TV局によってすべて違う。簡単なコトを難しくする会社などもあって企業風土が伺われるが、メカの壁の中に埋もれながらカメラマンは孤独に仕事をしている。

TV局の中には、伝送や連絡などエンジニアが搭乗していることもあるが、公共放送はカメラマンが単独で伝送から、撮影、リポートまで一人でやる。けっこうタイヘンである。

カメラの操作はスティックで行う。ラジコンと同様である。

搭乗したら即、地上局とリンクして映像伝送を行う。離陸直後はカメラマンにとっていちばん忙しい。

こちらは地上側で指揮するデスク(某局では航空デスクと呼ぶ)。

私も数年前まで、兼務でこの航空デスクをやっていた。

なにしろ、大事故、災害、事件など緊急報道の際には、速報可能な空撮頼みというパターンになる。いろんな意味でしわ寄せがくるところでもある。 

思い出されるのは約20年前、浦賀水道で自衛隊の潜水艦「なだしお」と釣り船が衝突して多数の犠牲者を出した事件・・・。ヘリで気軽に現場に向かった。

「小さな事故」だったはずが、現場についた時点では「行方不明40名」の大事故に・・・。それからえんえん3時間、撮影しながら中継リポートで喋り続ける羽目になった。疲れた。それから数年後に出た放送取材の解説本にそのときのボクのリポートが取り上げられ厳しく指導!されていた。

なにしろ糸の切れた凧のように下界からのサポートは一切無かった。だったらあの時、適切なアドバイスしていてくれればもっといいリポートできたと思うけどね。放送局にはこういう連中が多いのかもしれない。

当時、下関の実家で見ていた母親から同居人にお叱りの電話がきた。「え~・・・が多くて聞きづらい、アナウンサーみたいに喋りなさい!」


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コメント 3

橋本

裏側までみせていただき、ありがとうございました。
初めてみました。とても勉強になりました。
by 橋本 (2006-10-22 00:19) 

初恋天使

hamapro先生
以前から奥志賀の空撮の時はどうしたのかな・・と画像を見てました。
解説ありがとうございます。疑問解消です。
そしてプロの舞台裏・・・勉強になりました。
自分の周りでは、業務映像ライブラリー用空撮とかの仕事の話を聞きますが、報道の空撮となるさらに大変なんですね。
でも、現場で仕事は動いていながら、後から他人行儀に大変冷静な話をする方々・・・どこでも同じような話はあるんですね。
αみました!特集巻頭とは凄い!
by 初恋天使 (2006-10-23 09:50) 

hamapro

いちばんお金がかかるのが空撮ですね。小型ヘリで1時間 40万円くらいだと思いますが、防振装置の有無や機種によっては、もっとかかりますので、良いとはわかっていても空撮は考えちゃいますね。
αは、巻頭で8ページの特集になっていました。編集部のKさんがかなり気合いを入れたようすが伺われます。こんど、飲み会に誘ってみますかねえ。
by hamapro (2006-10-23 14:27) 

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