最後の授業 [HDV]
「授業」ってもんじゃないけど、月2回程度、木曜日19時からNHK文化センター青山教室でやっていた(過去形!)「木曜日ハイビジョン講座」は、昨夜で終了した。会社が続行を望まなかったからである。
6年ほどまえ、NHKから子会社のNHK文化センターに転籍して、社員兼講師として(去年1月からは講師として・・・)やってきたわけだが、これで一切の縁が切れたことになる。特に感慨はない。
講座の前、機材等を搬出しようとしていたら、とかく噂の取締役KY氏が、私をこっそり監視追跡していた。元カメラマンはスルドイのである。この会社ではアルバイト女性が挨拶しても無視するような連中が多いが、その中でも典型的お役人タイプだ。まさにこうした体質が業績低下一方のこの会社の暗黒面を象徴している。そんなヒマがあったら顧客サービスに努めるべきだと思う。
この会社独特の体質の背景には、親会社の特殊法人から転籍した方々が、ほとんど現場経験がないまま、本社勤務になり株式会社を経営する仕組みにある。プロバー社員から「会社ごっこ」と揶揄される由縁である。先輩たちが苦労して築いたシステムも、わずか数年しか勤務しない天下り連中の机上の空論で簡単に変更されることになる。前述のKY氏タイプが増えると負のスパイラルが加速化してしまうわけだ。
嫁入りしたPC
ここ数年、経営陣の交代で会社自体は妙な雰囲気になってきていたが、私が転籍した当時は、至極まっとうな経営陣だった。最初に担当することになったビデオ講座のスポンサーから「余りにアナログなので助成金を打ち切りたい」といってきたので、私の退職金で500万エンほどかけて、15台のノンリニア編集用PCを用意し、ビデオ講座のデジタル化を図った。そんな気にさせる会社の雰囲気だった。そのせいもあって、スポンサーからの援助はそれからも続いた。(社員を辞めた去年以降は知らない) カルチャーでは珍しいノンリニア編集講座の始まりだった。
↑ ミニ・タータンさまにもらわれたPC
一人1台のPCを使ったノンリニア編集講座は、6年近く前は、コストの関係でまったく不可能だった。スポンサーをつなぎとめ、講座のデジタル化という一定の貢献を果たしたのは、ジバラのPCがあったからだ。昨日までに15台あったPCは、講座の皆さん、世田谷のNPOに無償で差し上げた。
CS中継
ビデオ講座を担当してまもなく、先細りのカルチャー業界で新機軸を打ち出そうと、CS(通信衛星)で全国に講座を中継することになり、全面的に協力した。純利益 1%程度の経営実態でCS中継するには、相当なコストダウンをはかる必要がある。そこで、購入機材やビデオ講座の運営を、中継業務に向けてシフトすることにしてスタートさせたのが「木曜日ハイビジョン講座」である。このブログでもお伝えしているように、私の専門?!は「低コスト制作現場の創出」だからである。
しかし、全社をあげて取り組んだハズのCS中継だったが、情報を公開しない幹部連中の異様な仕事の進め方に対して、はじめ意気込んだ社員達もそのうち協力しなくなってしまった。私も2回ほど収録を担当したが、彼らがあまりに現場と、最近の制作状況を知らないのには驚いた。さらにカネを出すスポンサーもいるという前提だったが、実はまだ決まっていないまま見切り発車したこともわかった。結局、会社に新たな利益をもたらすはずだったCS中継は4回でおしまいになり、事業中止の理由は明かされなかった。会社として暗黒面への傾斜が始まったのはこの頃からである。
NHK文化センターは、50代後半の天下り社員と、30代のプロパー社員で構成されており、天下り幹部は本社の取締役会を構成して君臨し、ほぼ独善的な経営を行っている。天の声は降るように降りてくるが、下からの声は上がらない構造になっている。当然、風通しはよくない。
さて、CS中継を撤退したあと、次に始めたのがのがe-カルチャー、講座を動画化してインターネット配信しようというわけだ。しかし、これもうまく行かず巨額のカネと時間を費やしたあげく、今月末(3月)で幕引きとなった。
← 誠に勝手ながら・・・
かつて、制作費の低コスト化にあたって、収録用機材について具申したが、まったく考慮されなかった。どうやら、2004年以降(HDV化)の低コスト制作状況をまったくもってご存じなかったらしい。彼らの最初の収録現場をみて仰天した。ローカル局の中継収録システムそのまま、しかもすべてアナログβカム収録、地デジ状況もいっさい考慮していない。たぶん、1本あたりの制作費は100万エンを越えている。インターネットでは、コンテンツが殆ど無料!という文化も知らなかったらしい。数字だけ辻褄をあわせた試算表を見てビジネスは夢想家の遊びかと驚いた。なにせ自分たち以外はみな馬鹿~と思っている方々なので、聞く耳など持ち合わせていなかったようだ。
誰もが失敗すると確信していたビジネスが、なぜスタートしてしまったのか? こうした新展開?事業に関わっていた若手社員などがこの1年で3人も辞めていった。将来、間違いなくこの会社を担うべき有能な人材だったが、あまりの現状に失望したのだと思う。
私も去年1月の任期切れの前に(とっくにこの会社の体質に見切りをつけていたので)近くに事務所を借り、朝日カレッジの講座を引き受け、エコビジネスメーカーの取締役になった。
これが、昨夜の最後の授業の背景である。
↑ 木曜日ハイビジョン講座の制作実習
自分の時間と身銭を切りまくったこの6年だったけど、新しいビデオ講座を模索して成果は、しっかり朝日カレッジでなどで引き継がれることになった。大学とのコラボでPCや教室を確保でき、受講生と講座は着実に増えている。これが経営だと思う。 もっとも、私としてはWEB2時代を迎えて新しい展開が必要だと思っていたし、NHK文化センターの「配慮」にむしろ感謝すべきかもしれない。
さて、4月からの木曜日ハイビジョン講座は、すぐ近くのスペースを借りて行う。受講料はすべて酒と料理にあてる。
会場です~♪
なぜならその教室は居酒屋~♪ 受講生の皆さんにとっても生きたカネを使えるわけだ。
そういうわけで私の6年間のNHK文化センターにおけるミッションは終了した。実は、去年1月に退社するまでの2年間は、暗黒面に傾斜し始めたこの会社の本社に在籍していた。以来、裸の王様にかしずく下僕たちの群れとでもいった状況を身近に取材者の眼で記録してきた。
最後の授業の日、機材を搬出する私をこっそり(本人はそのつもりだったらしい)、監視していた奇妙な取締役Ky氏に代表される会社の体質は相変わらずのようだ。お客さまあっての会社、講師や社員あっての会社だという自覚はカケラも彼の意識にはないだろう。講師あるいは社員への敬意を少しは持て!というのか過大な要求かもしれない。
一定の支持を集めている講座が、なぜ急に消えることになったのか? 説明責任として背景を紹介させていただいた。
要は気にくわないから辞めろ~♪ ということらしいんですけどね。
おつかれさまで〜す!
やる事の無い、国の圧力で事実を曲げて、仕事している振りして、税金で食ってる集団からの無事脱出おめでとうございます。
ついでにNHKも無くしてください^^;
それにしても
某テレビ局のニュースソースからパクった様な文体から先生の脳の怒りが伝わってきました。
歴史に残るレポートです!
すばらしい!(えくせれんと)
by hilo (2009-03-21 12:59)
6年間お疲れ様でした。
身銭を切ってまで、受講生に行き届いた先生の講座にかける熱意は、すばらしいものがあると思います。
なかなかできるものではありません。
ありがとうございました。
そして4月から新たに受講生として、よろしくお願いいたします。
by オッサ (2009-03-21 19:19)
私も先生のお気持ちは良く理解できます。 私も只今フリーでTV業界で働いている関係でN○Kの関連事業から仕事を請ける事もあるので、この「天下り」の件は、先生と同じく疑問や悲しみすら感じまね。 特に「天下り」によって得たN○Kの関連事業の取締役連中は3~6年の間は、ひたすら問題を起こさず高額な給与だけを貰う事だけが目的となり、しかもそれが、自分がN○Kで仕事をして来た「当然の権利」と思っている奴らが多過ぎます。
ただマレに、本当にTV業界が好きでN○K退職後に関連事業会社でも先生の様に頑張られている方もいらっしゃいますが、どうも放送センターで偉そうに椅子に座っている役員どもは、今のTV業界の現状も把握せずボーっとしている「おじいさん」です。まあ、悲しいですがこの体質は変わる事はないでしょうね・・・。 先生のこれからのご活躍を心から願っております。
6年間お疲れ様でした。
by でんでん (2009-03-22 02:01)
みなさん、どーも!
私は現在、ほかの関連事業会社の仕事も請け負ったりしていますが、気持ちよくやらせてもらっています。
あの会社もプロパー社員は頑張っているんですけどねえ。
事業の失敗はともかく、この不況の時代に、有望な男性若手社員が1年で3人も辞めてしまったことへの説明はつかないでしょう。
人のつながりが大事~♪ これが私の講座のオキテです。
これからもよろしくお願いします。
by hamapro (2009-03-22 09:06)