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クリント・イーストウッド [見る&読む]

私は、クリント・イーストウッドの映画は殆ど見ています。今では、役者というよりは類い希な才能の持ち主にして、アカデミー賞監督として有名です。

アクション映画「ガントレット」のオープニングの夜明けの町に流れるアート・ペッパーなど、ゾクゾクっとするほど、彼は音楽の使い方もうまい。

私も含めて、オジサンたちのビデオは音楽あるいはBGMの使い方は非常にヘタクソです。監督のビデオを見て、勉強するといいかもしれない。

さてクリント・イーストウッドの最新作は硫黄島を舞台にした日米それぞれの視点で描く戦争映画です。今月15日、敗戦記念日の朝日新聞朝刊に、全面広告で彼のメッセージが掲載されました。とても印象的です。

一部を引用・・・。

私が観て育った戦争映画の多くは、どちらかが正義で
どちらかが悪だと描いていました。
しかし、人生も戦争も、そういうものではないのです。
私の2本の映画も勝ち負けを描いたものではありません。
戦争が人間に与える影響
ほんとうならもっと生きられたであろう
人々に与えた影響を描いています。
どちらの側であっても
戦争で命を落とした人々は敬意を受けるに
余りある存在です。
だから、この2本の映画は
彼らに対する私のトリビュートなのです。
日米双方の側の物語を伝えるこれらの映画を通して
両国が共有する
あの深く心に刻まれた時代を新たな視点で
見ることができれば幸いです

↑ 監督の全文「日本のみなさまへ」はこちら。

さて、靖国やA級戦犯をめぐってにわかにナショナリズムをかきたてる連中がはびこっていますが、それとは一線を画した、品のあるいい文章であると思います。

きょう、本屋で「司馬遼太郎と東京裁判」(福井雄三著)を購入しました。司馬史観を断罪?した本です。最近増えているかなり奇妙な主張の本の一種ともいえます。この本の著者は「ノモンハン事件で日本は勝利した」といっています。

最近の研究では、両軍の被害がある程度わかってきて、思ったよりもソ連軍の被害が大きいのを引用して、著者は、「日本は勝った」と主張しているようです。

ノモンハンの戦闘は、結局、勃発時日本軍の戦闘レベルでの勝利はあったものの、後半以降は増強を重ねたソ連軍の一方的勝利に終わりました。

そして、この「戦争」で明らかになった日本軍の補給と人命軽視、戦車や航空戦力の軽視を反省することなく、第二次大戦へ突入してしまうわけです。つまり何も学ばなかったわけです。

当たり前のことだけど、死傷者の数や戦闘の勝ち負けで、戦争に勝った・・・なんていっても意味はないわけです。

また、この著者は「日本軍の兵器は優秀だった」といっていますが、優秀だったのは、少年戦車兵だった司馬さんがいうように「ブリキのような戦車で戦わされ、あるいは肉弾戦での突撃を強いられた日本兵の敢闘精神」で、これに対してソ連軍は、ノモンハンの戦訓をもとにあのT34戦車を産み出し、ドイツとの戦争に勝ったことを考えるだけでも「そんなバカな・・」とわかるハズです。

この戦争を勝手に拡大し死者を増やした関東軍の辻、服部といった旧軍の「秀才」たちは、何の責任もとらなかったわけで、その後のインパール作戦などで、その非合理、非論理、非科学的な体質はさらに加速して、敗戦へと至るわけです。

勝ったか、負けたかが問題ではなく、そこから何を学んだかということが大事~♪

戦争犯罪人を擁護される連中は、「ほんとうならもっと生きられたであろう」方々にもっと敬意を払うべきで、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島」を見て、もっと頭を冷やしたほうがいいと思いますね。


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コメント 2

司馬さんは戦闘に参加していません。

一つの事を取って言うのはナンですが、司馬さんは戦闘に参加していません。エッセイや小説で固定観念が出来てしまっている様ですが、演習のみ参加して、訓練当時
上官にひどく指導されていた経緯があってあの様な「日露戦争までは良かった・・・」との表現になったと思われます。先の大戦はいろいろな角度から考察せねばならないと思います。もちろん先の大戦で世界や日本でなくなった方々には心からご冥福の念を忘れません。
by 司馬さんは戦闘に参加していません。 (2006-09-04 14:07) 

hamapro

司馬さんは陸軍少尉で久留米戦車隊小隊長だったようですね。
インパール作戦などに従軍していたら小説家司馬遼太郎はなく、生き残ったからこそいろんな見方を世に問うことができたのかもしれません。
私も戦後世代?ですが、藤原ていさんの「流れる星は生きている」で戦争を追体験した世代です。満州でも市民を救わなかった陸軍の印象が強いわけです。もっとも、これもいろんな見方の一つですが・・・
by hamapro (2006-09-04 17:23) 

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