ダライ・ラマ自伝 [見る&読む]
北京オリンピック聖火リレーでチベット問題が注目されています。
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ほとんどの日本人が知らなかった・・・(中国人はもっと知らない?)チベットの歴史がクローズアップされています。もっとも、かつて日本が近隣諸国に多大な迷惑をかけた血債の過去も知らない高校生だって多いそうですが・・・。
文春文庫「ダライ・ラマ自伝」を読みました。ダライ・ラマ14世は1935年生まれ、13世の生まれ変わりとして1940年に14世即位、中国の侵略で1959年インドに亡命政府を樹立、1989年ノーベル平和賞を受賞しています。
そうした半生を自分の言葉で記した自伝ですが、これがとてもおもしろい~♪ まさに大変な激動の人生、暗いチベットの現状を憂いながらも、周辺に注がれる目はあくまで温かく、ユーモアにあふれて明るい・・・、 人間としての魅力や存在感にあふれています。
ダライラマ自伝によると、チベットは中国とは民族を異にし、歴史的にも関係のない中国が突如、誰も望んでいない「チベットを解放」、多数の寺院を破壊し、100万人を越える市民や僧侶を虐殺、600万人のチベットに1000万人の中国人が移民、中国化を進め、核兵器の基地、放射能廃棄物処理場にしてしまいました。正当化が難しい中国の蛮行と、中国がもたらしたチベットの惨状が、オリンピック聖火リレーで注目を浴びてしまったという状況になっています。
「どうしてこんなことになったのか、あの多くの善良な男女の崇高な理想が、どうしてこのように非常識な野蛮さに変形してしまったのか、わたしには説明のしようがない。また、中国指導部内の人間が、チベット民族を抹殺してもいいなどとどうして考えるにいたったのか理解に苦しむ。おそらく、共産主義の名において、中国国民自身が四十一年間いいがたい惨めさを嘗めてきた結果として、中国は、人間への信頼を失った国になってしまったのではないだろうか」 「ダライ・ラマ自伝」(P 411 - 15章)
中国は報道カメラマンしていたときに、何度か一ヶ月を超える長期取材をした経験がありますが、風土や文化、市民レベルでは非常に魅力がありますが、国としての顔は落差がありすぎますねえ。
ダライ・ラマ14世は「北京オリンピックは支持する」、「独立は望んでいない」と言っています。中国は対話のテーブルについて欲しいものです。
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